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2012年9月16日 (日曜日)

【Track.8】 『台流』の華、日本で咲く前に散る。

日本政府の尖閣諸島国有化表明に対する中国各地での反日デモは、1972年の国交正常化以来最大の規模となっています。 日系百貨店は暴徒化した群衆によって破壊、略奪され、パナソニックの工場やトヨタの販売店からも火の手が上がっています。 深圳では武装警察がデモ隊に向かって催涙弾を発射し抑えこみを図るポーズを見せていますが、所詮は中国共産党が描いた三文芝居の一幕。 沈静化するのはまだまだ先のことでしょう。

これで『ポスト韓流』の座に『華流』が選ばれる可能性は、完全に消えました。
どうやら華流ファンは、今後もマイノリティであり続けるしかなさそうです。

ならば今こそ『台流』を…と、いきたいところですが、
残念ながらその台流も、自信を持って推せる状況ではなくなってしまいました…。

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9月12日、中華民国は沈斯淳駐日代表(…大使に相当)を緊急帰国させました。
もちろんこれも、日本政府の尖閣諸島国有化を受けての抗議行動です。

8月15日、香港の活動家らが尖閣諸島に上陸、沖縄県警に逮捕されたあとすぐに強制送還となった事件がありましたが、馬英九総統はそれに先立つ8月5日、尖閣諸島及び東シナ海地域に於ける争議は棚上げとし、平和互恵、共同開発を原則とする『東シナ海平和イニシアチブ』を提起していました。
香港の活動家らは尖閣に向かう途中、食料や燃料等の補給のため台湾への寄港を目論んでいましたが中華民国当局はこれを認めず(…非公式に物資は渡している)、また、この抗議船団への合流を予定していた台湾の活動家らの出港も阻止しています。
駐日代表の緊急帰国を含むこれら一連の行動は、この海域に於ける主導権を握りたいとする中華民国政府の強い意識の現れにほかなりません。 馬英九総統は今月7日、尖閣諸島に最も近い彭佳嶼を視察後、『東シナ海平和イニシアチブ』を推進する具体的な段取りも発表しています。

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僕はこの中華民国の動きによって、日本で台流がブームとなる可能性はかなり遠退いた、と思っています。 東日本大震災以降かつてないほど良好だった日台の蜜月関係も、ここをピークに停滞、あるいは下降に向かうのではないかと。

そもそも中華民国が尖閣を自国領とする歴史的根拠に正当性は皆無です。 台湾漁民が尖閣周辺で漁業活動を行なっていた事実はありますが、それが領有の根拠とならないことは明らかでしょう。 それでも固執するのは、1968年から1970年にかけて行われた海底調査で、大量の石油や天然資源が周辺海域に眠っていることが確認されたが故…。
日本と同じく天然エネルギー資源に恵まれない中華民国(台湾)は、翌1971年6月に領有権を主張。 中国が領有を主張し始めたのは、その半年後です。 中国にしてみれば台湾はもともと『台湾省』ですし、ならば我が国も…となるのは当然でしょう。
しかし、彼らが語る領有の根拠はどれもナンセンスです。 1970年以前は両国ともに自国の新聞や地図で尖閣諸島が日本領であることを認めていたのですから、恥知らずにもほどがある。 中国人がそういう連中であることはわかっていたけれど、まさか台湾人までが同じ穴のムジナだったとは…と、ガッカリしている日本人も多いのではないでしょうか。

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実のところ尖閣領有を強硬に主張する中華民国政府の声が、『台湾人』としての総意なのか、ちょっと計り兼ねています。

現在中華民国の政権与党である国民党は、聖代(Sundae)をピックアップした回で少し触れていますが、戦後大陸から入ってきた外省人による、いわゆる亡命政権です。 それ以前から住んでいる本省人とは異なるイデオロギーを持つ『中国人』…というのが外省人の正体です。
国民党が言う『中国』とは、台湾島に政府を置く『中華民国』のことであり、主張する領土は遙か中国大陸モンゴルにまでおよんでいます。 そして重要なのは、琉球…すなわち沖縄もそこに含まれているということ。 尖閣諸島が自国領だとする中華民国=国民党の根拠は、ここにあるわけです。
このドス黒い国民党の野望は、例えば桃園国際空港でも見ることが出来ます。 電光掲示板、那覇行きのところには何と出ているか。 『琉球』です。 英語表記は『OKINAWA』となっているので単純なミスや誤解ではなく、彼らが意図を持って『琉球』表記にしているのは間違いないでしょう。

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一方、国民党に在籍しながら、中華民国は台湾に存在する、中国大陸にある中華人民共和国とは別の中国であるとの考えを示した人物もいます。 本省人として初めて総統となった李登輝氏です。 李登輝氏は、尖閣諸島についても日本の領土であると明言しています。
その考えに賛同する本省人たちは確実にいるはずなのですが、しかし彼らの声は日本に聞こえてきません。 台湾人としてどうしたいのか、本音が伝わってこないのです。

今年1月に行われた総統選挙では、本省人出身の民進党・蔡英文女史が、外省人である国民党の馬英九氏に敗れました。 得票差は馬英九氏の51.6%に対して、蔡英文女史は45.63%、6%という僅差での敗北でした。
聖代(Sundae)のところで書いたように、台湾人口2300万人のうち8割は本省人、外省人はたったの2割弱です。 しかも『二・二八事件』によって両民族の間には深いわだかまりがあるにも関わらず、なぜこの結果となってしまったのか。
これには馬英九総統が継承する、いわゆる『92年コンセンサス』が大きく影響しています。

『92年コンセンサス(合意)』とは、1992年に台湾と中国大陸両岸で交わされた…とされる合意のことです。 これは『中国は一つ』であることを原則として、その解釈は台湾・中国大陸双方が独自にするというもの。 つまり中国大陸側の『中国』とは『中華人民共和国』のことであり、台湾側の『中国』とは孫文以来の『中華民国』を指す。 双方の解釈が異なることを暗黙の了解事項として棚上げし、さらに台湾は『統一せず、独立せず、武力行使せず』の現状維持を強調。 これによって両岸の経済交流はますます盛んになっていきました。

民進党の蔡英文女史は、92年コンセンサスを否定する立場をとっていました。 行政院では毎年、独立するか否かの意識調査を実施していますが、8割近くの台湾人が現状維持を望んでいるそうです。 中国大陸との関係悪化を望まない、現在享受している経済的恩恵を失いたくない本省人が国民党支持に回ったということでしょう。

しかし今回、両候補の差は僅かでした。
台湾人としてのアイデンティティが目覚めようとしている証しです。
総統の任期は最長で2期8年。 三選は禁止されているので、親中・反日強硬派の馬英九氏は今期が最後。 台湾が本当に動くのは4年後の2016年です。
日本で『台流』が華開く可能性は、まだじゅうぶんに残っています。

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